2012年11月18日
涸沢強行5
さて、11/2の夜~11/5までの涸沢山行のつづきです。(なかなか終わらずすみません)
本谷橋でアイゼンを装着し、いよいよ「涸沢」を見ざす決心をした私。
しかし、本谷橋から先は噂通り、本格的な登山道という感じに様変わりし、加えて先ほどとは打って変わっての雪道となり、
予想外に私のエネルギーを奪い始めました。

いや、単に体力だけの問題なら、休み休み登れば済むこと。
しかし、これまで蓄積された負荷に加え、勾配が急になった分、私の左膝がじわじわと悲鳴をあげ始め、
登り始めて30分もしないうちに、ほとんど片方の味を引きずりながらの厳しい登山になってしまったのです。
最初のうちは2~3歩進んでは休む・・・という具合だったのが、
やがて、一歩進んでは休む、という形になり、
しまいには、半歩進んで小休止という、終わりの見えない山行になり、
途中では、後から来る登山者に次から次へと抜き去られ、それこそ60過ぎとも見えるおじーちゃんや、いかにも顔色の悪い、ひょろひょろでバテバテのおにーちゃんたちにも、道を譲る始末・・・。
けっして彼らのペースが早いわけではありません。かなりのスローペースであることは私にも分かるのですが、
そのペースにさえもブチ抜かれる私がどれほどの超スローペースであるか・・・。
ほとんど止まっていると言っても過言ではないほどでした。
マジでこんなんで今日中に涸沢にたどり着けるのか???と心配にもなりましたし、
仮にたどり着けたとしても、明日下山出来るのだろうか・・・という不安もありました。
まだ日が頭の上にある時間で、しかも登山道の途中でしたが、何度この場にテントを張ってしまおうかと思ったことか・・・。


そして、本当に「せめてポールがあれば・・・」と何度思ったことか。
「あぁ・・店員に勧められた17,000円くらいするLEKIのポールを、値段に尻込みせず買っとけば良かった・・・」と何度後悔したことか・・・。
本当にポールの大切さというものを痛感しましたよ。(来る前に見た「ポール使う派と使わない派」がいるという記事を載せていたサイトを何度恨んだことか・・・)
しかし、後悔しても、他人を恨んでも、少しずつでも進まなければ何も変わらないという現実だけが、自分を前へと進ませようとしました。
「ちっ・・・。まるで人生と一緒やなぁ・・・」
本当にそんなことを思いながら、苦痛に顔を歪めながら、半歩ずつ歩を進めました。
「まだこの時間だからマシだ・・・。このまま夕暮れ時になってしまったら、より過酷な状況が待っている・・・。今のうちに少しでも前に進まないと・・・」
本当に切羽詰った状況でした。
それとは反して、周りの景色はとても美しい。
しかし、それがまた逆に無情な感じでした。

進んでも進んでも、先が見えて来ません。
焦りが出てきます。
時間も刻々と過ぎてゆきます。12時を過ぎ、12時半を過ぎ、やがて1時を過ぎ・・・という感じでした。
そうしている間にも、何時に登り始めたのかは分かりませんが、何人かの後続者に「こんにちわ~」と追い抜かれて行きます。
誰ひとり私の歩みに違和感を感じてくれる人はいません。誰も気にかけてもくれません。
皆必死なのでしょうね・・・。
「これもまた人生のようだな・・・」と思いました。
そうこうしていると、やがて目の前にV字に見える谷のような景色が見えて来ました・・・。
「あれは・・・もしや・・・」

今までと違う風景に、気持ちも少し前向きになります。
そうしていると、また後ろから一人私を抜き去る登山者が。
「こんにちは~。あと少しです。がんばりましょ~(笑)」と。
その言葉に思わず、「すみません・・あとどのくらいかかるんでしょうかね・・・?」と声を掛けて見ました。
すると、「あそこに見える向こう側が涸沢のカールですから、あと30分くらいですよ。がんばりましょー(笑)」と。
「(おぉー!)」と心の中で喜びの声を上げるオレ。
しかし・・・
その時間は健脚な者にとっての時間ということがすぐに分かります。
なかなかたどり着けん・・・・。苦しい・・・。
1時間くらい経って思います。「さっきの他人はもうとっくに着いてるんだろうな・・・」
少しずつ陽も傾いてくるような気がします。
やばいな・・・。急がないと。
すると、おぼろげに谷間に小屋のような影が見えます・・・

もしや・・・建物か?人工物か?
時刻はもうすぐ午後3時です。
たぶんあれが涸沢の小屋だと思うけど・・・まだまだ遠いなぁ~~~・・・
でも、確実にゴールに近づいている実感を感じ、そして徐々に傾く陽にも焦りを感じ、
痛みに耐えてペースを上げます・・・いや、上げるというほど上がりません・・・。が、進んでいます。確実に。

振り向くと、山肌に影が出来ています。
半歩ずつ、半歩ずつ、痛みに耐えて歩を進めます。

右手には北穂(?)が。目的地はもうすぐです。

するとやがて先ほど遠くに見えていた小屋がもう目の前に。
あと少しです。でも、そのあと少しが遠い・・・。
そしてとうとう小屋の下まで来ました・・・。

しかし、この期に及んで、あとから来るパーティーに次々と追い抜かれ、ゴール目前でまた凹みます。
しかし、本当にあと少し・・・。
(つづく)
本谷橋でアイゼンを装着し、いよいよ「涸沢」を見ざす決心をした私。
しかし、本谷橋から先は噂通り、本格的な登山道という感じに様変わりし、加えて先ほどとは打って変わっての雪道となり、
予想外に私のエネルギーを奪い始めました。
いや、単に体力だけの問題なら、休み休み登れば済むこと。
しかし、これまで蓄積された負荷に加え、勾配が急になった分、私の左膝がじわじわと悲鳴をあげ始め、
登り始めて30分もしないうちに、ほとんど片方の味を引きずりながらの厳しい登山になってしまったのです。
最初のうちは2~3歩進んでは休む・・・という具合だったのが、
やがて、一歩進んでは休む、という形になり、
しまいには、半歩進んで小休止という、終わりの見えない山行になり、
途中では、後から来る登山者に次から次へと抜き去られ、それこそ60過ぎとも見えるおじーちゃんや、いかにも顔色の悪い、ひょろひょろでバテバテのおにーちゃんたちにも、道を譲る始末・・・。
けっして彼らのペースが早いわけではありません。かなりのスローペースであることは私にも分かるのですが、
そのペースにさえもブチ抜かれる私がどれほどの超スローペースであるか・・・。
ほとんど止まっていると言っても過言ではないほどでした。
マジでこんなんで今日中に涸沢にたどり着けるのか???と心配にもなりましたし、
仮にたどり着けたとしても、明日下山出来るのだろうか・・・という不安もありました。
まだ日が頭の上にある時間で、しかも登山道の途中でしたが、何度この場にテントを張ってしまおうかと思ったことか・・・。
そして、本当に「せめてポールがあれば・・・」と何度思ったことか。
「あぁ・・店員に勧められた17,000円くらいするLEKIのポールを、値段に尻込みせず買っとけば良かった・・・」と何度後悔したことか・・・。
本当にポールの大切さというものを痛感しましたよ。(来る前に見た「ポール使う派と使わない派」がいるという記事を載せていたサイトを何度恨んだことか・・・)
しかし、後悔しても、他人を恨んでも、少しずつでも進まなければ何も変わらないという現実だけが、自分を前へと進ませようとしました。
「ちっ・・・。まるで人生と一緒やなぁ・・・」
本当にそんなことを思いながら、苦痛に顔を歪めながら、半歩ずつ歩を進めました。
「まだこの時間だからマシだ・・・。このまま夕暮れ時になってしまったら、より過酷な状況が待っている・・・。今のうちに少しでも前に進まないと・・・」
本当に切羽詰った状況でした。
それとは反して、周りの景色はとても美しい。
しかし、それがまた逆に無情な感じでした。
進んでも進んでも、先が見えて来ません。
焦りが出てきます。
時間も刻々と過ぎてゆきます。12時を過ぎ、12時半を過ぎ、やがて1時を過ぎ・・・という感じでした。
そうしている間にも、何時に登り始めたのかは分かりませんが、何人かの後続者に「こんにちわ~」と追い抜かれて行きます。
誰ひとり私の歩みに違和感を感じてくれる人はいません。誰も気にかけてもくれません。
皆必死なのでしょうね・・・。
「これもまた人生のようだな・・・」と思いました。
そうこうしていると、やがて目の前にV字に見える谷のような景色が見えて来ました・・・。
「あれは・・・もしや・・・」
今までと違う風景に、気持ちも少し前向きになります。
そうしていると、また後ろから一人私を抜き去る登山者が。
「こんにちは~。あと少しです。がんばりましょ~(笑)」と。
その言葉に思わず、「すみません・・あとどのくらいかかるんでしょうかね・・・?」と声を掛けて見ました。
すると、「あそこに見える向こう側が涸沢のカールですから、あと30分くらいですよ。がんばりましょー(笑)」と。
「(おぉー!)」と心の中で喜びの声を上げるオレ。
しかし・・・
その時間は健脚な者にとっての時間ということがすぐに分かります。
なかなかたどり着けん・・・・。苦しい・・・。
1時間くらい経って思います。「さっきの他人はもうとっくに着いてるんだろうな・・・」
少しずつ陽も傾いてくるような気がします。
やばいな・・・。急がないと。
すると、おぼろげに谷間に小屋のような影が見えます・・・
もしや・・・建物か?人工物か?
時刻はもうすぐ午後3時です。
たぶんあれが涸沢の小屋だと思うけど・・・まだまだ遠いなぁ~~~・・・
でも、確実にゴールに近づいている実感を感じ、そして徐々に傾く陽にも焦りを感じ、
痛みに耐えてペースを上げます・・・いや、上げるというほど上がりません・・・。が、進んでいます。確実に。
振り向くと、山肌に影が出来ています。
半歩ずつ、半歩ずつ、痛みに耐えて歩を進めます。
右手には北穂(?)が。目的地はもうすぐです。
するとやがて先ほど遠くに見えていた小屋がもう目の前に。
あと少しです。でも、そのあと少しが遠い・・・。
そしてとうとう小屋の下まで来ました・・・。
しかし、この期に及んで、あとから来るパーティーに次々と追い抜かれ、ゴール目前でまた凹みます。
しかし、本当にあと少し・・・。
(つづく)
Posted by open_car at 22:45│Comments(1)
この記事へのコメント
新品は発売します
Posted by 2012新品は発売します at 2012年11月19日 00:04
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